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想い出アルバム 短編読み物「栗梅1」

栗梅01

短編読み物「栗梅1」

 朝食の後片付けを済ませて、美咲は食卓に無造作に置かれた新聞を取りあげた。忙しく箸を動かす合間に、夫が目を通していたものだ。

 朝刊の一面には、国際的なテロ集団が日本人を人質にした記事が載っていた。近頃は暗いニュースを見ることにも、すっかり慣れてしまった気がする。毎日のように殺人が起こり、世界のどこかで紛争が続いている。
 けれど、自分はそうした実社会とは、何も関わることなく安穏と暮らし、人の生き死ににさえ鈍感になっていく。

 美咲にとっての社会とは、ほぼ夫との生活を意味している。時々、電話で会話する実家の母親や学生時代の友人、挨拶を交わす程度のご近所付き合い。世界規模のニュースに比べると、自宅の庭ほどもない狭い社会で生きているのだ。

 ふと気になって、美咲はリビングの窓から外を見やる。
 お隣の垣根を越えて、家の庭に梅の枝が突き出していた。いくつもの蕾が寒風に震えて、身を硬く閉ざしている。
 もう二月も半ばだというのに、今朝は身体が芯から震えるような底冷えがした。このぶんだと、開花はまだ先のことになるだろう。


栗梅02

 慌ただしい朝がすぎて、ようやく訪れる自分の時間。
 美咲は、ソファーにゆったり腰かけると、いつものようにスマホを手にした。もう一年以上も書き続けているブログをチェックするためである。

 始めたころは、たわいない雑記帳のたぐいだった。
 昼食の写真を載せたり、お隣の梅の花を撮影してアップしたり。それはそれで楽しかった。
 ところが、次第に更新は滞り、続けるのが億劫になった。いざ身の回りのことを書こうにも、変化に乏しい日常を送っていると、段々とネタに詰まってくるのだ。

 数ヵ月ほど放置していたものの、ネットで購入したブラとパンティーを、気まぐれで撮影してブログに載せてみた。
 何らかの反響を期待したわけではない。単に退屈していたのだと思う。
 下着を身に付けた画像をアップするわけでなし、非常識で破廉恥なことだとは露ほども考えなかった。なにしろ未使用の新品なのだから。

 ところが数日後「通りすがり」を名乗る人物から、痛烈なコメントが書きこまれてしまう。
「奥さん、下着を見せびらかして欲求不満?」
 今、思い出しても、頬が燃えたつようだ。
 バカバカしいと思った。自分のことを何も知らない人から、欲求不満呼ばわりされるのは心外だった。恥辱と憤怒でワナワナと唇が震えた。

 相手にせず、コメントを消してしまえば良かったのかもしれない。だが、美咲は怒りに任せて、ブログそのものを閉鎖してしまった。そのコメントを見た人が他にもいるかもしれない。そう思うと居ても立っていられなかった。

 数日はテレビドラマを観たり、料理に凝ってみたり、ネットでの一件を忘れようとした。
 しかし、ちょっとしたきっかけでブログのコメントを思い出し、首筋が赤らんでしまう。洗濯乾燥機の中で自分の下着がグルグルと回っているのを見ただけでも、あの忌まわしいコメントが蘇ってきてしまうのだ。

 とはいえ、欲求不満という言葉に激しく嫌悪感がわくのは、自分が本当に欲求不満だからではないか。自分を何も知らない人に、核心を突かれてしまった。自分の本性を見抜かれてしまった。
 そう思うと、恥ずかしさがゾワゾワと背筋を這いのぼってきて、悔しくて夜も眠れない日がある。


栗梅03

 しばらく思い悩んだ末に、美咲はブログを再開することにした。
 考えてみれば、誰もコメントしてくれないブログより、からかいだろうと、何かしらの反応がもらえたほうが嬉しいし励みになる。そんな言い訳を自分にしてみた。

 けれど、どこか心の片隅で、卑俗なコメントでなじられてみたいような、妙に浮ついたマゾヒスティックな欲望があるのも確かなのだった。
 ブログに載せた下着の画像、一度でも身に付けたものを公開したら、どんなコメントが書かれてしまうのだろう。そんなことばかり考えてしまう。

 新たなブログを立ち上げる際、思い切ってカテゴリーをアダルトにしてみた。「人妻」というジャンルに登録する。
 主婦ではなく、私は「人妻」なのだ。
 そんなふうに考えると、妙に気分が高揚してくる。

 何もせず、安穏と暮らす毎日。
 ぼんやりと梅の蕾を眺めては、いつ開花するのかと心待ちにする。そんな刺激のない日々は、正直うんざりだった。開き直りに近かったかもしれない。

 ブログの体裁を整えると、まずはプロフィールから書き始める。
 年齢、身長、スリーサイズを書いて手が止まる。本当は現在の正確なスリーサイズは分からない。もしかすると、書きこんだサイズより五センチ、いやもっと太いかもしれない。
 匿名の世界で見栄を張ってどうするんだ、と我ながら苦笑してしまう。でも、実際に近いサイズに訂正したりはしない。少しダイエットすればいいのだ。

 それから、プロフィールに載せる写真をスマホで撮ってみる。もちろん顔は写さない。
 試しに唇から下のバストショットを撮影してみたがどうにも気に入らなかった。そこで部屋着を着替えることにした。さすがに廉価なパーカー姿では味気ないと思ったのだ。

 まるでお出かけ前のように、セーターやブラウスをとっかえひっかえ着てみる。その度に写真を撮ってはチェックを繰り返した。
 栗茶色のセーターに袖を通す。襟ぐりが大きく開いているのに、敢えて素肌にまとってみた。悪くないと思った。

 二の腕で乳房を挟みこむようにしてからシャッターを切る。V字に開いた首の下で、白い媚肉がY字に盛りあがっている。唇を半開きにして、またシャッターを切る。
 楽しかった。久しぶりに楽しいと思った。


栗梅04

 学生時代に付き合い始めた夫と、卒業を機に結婚した。
 就職をした経験もなければ、夫以外の男性を知らぬまま、来年には三十歳になる。そんな美咲にとって、アダルト・ブログの世界は、刺激に満ちた魅惑的なものだった。

 ヌード撮影、不倫、SM、露出行為……なんとなく知識はあっても、赤裸々な実態を知る機会が今まではなかった。未知の世界を知るのは、自分の庭を広くすることだ。
 最初のうち、初体験の思い出を書いてみたり、性的な妄想を文章にしたりしてみた。そんなことでも、美咲には大きな一歩、大胆な悪行に思えたものだ。

 ところが、過激な世界に身をひたしていると、経験の乏しい人間は、すぐに感化されていく。他のアダルト・ブログを書いている人たちとの交流によって、美咲は一気に耳年増になっていった。
 すると、これまでモラルに反していると思いこんでいた淫らな世界が、逆に輝かしい花園のようにさえ見えてきてしまう。羨ましいと思い、ついには憧れにさえなる。

 いつからか自らを撮影してブログに載せるようになった。

 プロフィール写真を撮影した折に感じた楽しさが忘れられなかったというのもある。だが、胸の谷間を強調した己が写真を見るたび、身体がきゅんと反応してしまう自分に気づくようになったのだ。

 サイズだけは自慢できる胸元の画像を数枚、ブログで公開してみた。もう欲求不満ですかとコメントする男は現れなかった。それが美咲には少し不満だったが、徐々に肌の露出をあげて、写真をアップするようになった。
 誰が見ているとも知れぬネットの世界に、淫らな画像を晒す。この背徳感とスリルがたまらなかった。

 セリオというハンドル・ネームの男性が、コメントを書きこんでくれるようになったのは、その頃のことだ。


クリック「栗梅2」につづく
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[ 2015/03/05 21:00 ] 想い出アルバム(画像) | CM(4) | TB(-)
こんばんは
智 様

こんばんは。
今回のシリーズ、画像はみぃ様ですがお話は「美咲」
今後の展開が楽しみです。

画像のみぃ様は、とても良い雰囲気ですね。
画質がセピアなだけあり、昭和の感じがします。
そして和室・・・ここで私が次に思うのが「梁がないかな」と思ってしまいます。(汗)
着物が乱れ、露わになるみぃ様の肌はとても美しいですね。
[ 2015/03/06 21:57 ] [ 編集 ]
今回の嗜好も。
智さま

和蝋燭のゆらゆらした光と陰。。
畳に上に脱がされた赤い襦袢と着物が
散乱し。襖の向こうに用意された

もう一つの和室には布団が2組敷かれて。
鴨居には荒縄が既に掛かっている
帯が解かれ。。着擦れる音だけが耳に響く。

さて。この淫乱な女をどう始末しようかと
思案する智次郎。。「まあ時間たっぷりとある」と
呟きに似た独り言を云いながら。

ソッと。女の秘処へと手を差し込む。。

そんな今回の嗜好でしょうか?
[ 2015/03/07 09:25 ] [ 編集 ]
妖しい雰囲気
なほこ様

こんにちは。
今回は、文章が読みたいというみぃのリクエストに応え、敢えてフィクションにしてみました。書いていて面白いし、たまには、こういうのもいいかなと思っています。

確かに画像は、昭和の匂いがしますね。
しかも、なほこ様が生まれる前くらいの^^;
緊縛調教と和室、和装は相性が良いよう。なんとも妖しい雰囲気が醸し出されているかもしれません。物語も、おどろおどろしい猟奇的なお話にすればよかったのでしょうかw

梁や柱を探す習性は、サディストだけではないようですねw
残念ながら、物語に「吊り」は出てきませんが、緊縛の話になっていきます。どうかお楽しみに。
[ 2015/03/07 14:14 ] [ 編集 ]
たっぷり読み物
Ken様

こんにちは。
今回は、フィクションに、みぃの画像を挿絵のように見ていただこうという新趣向です。
4回に分けた読み物にしてみましたが、回を追うごとに面白くなる?・・・はずですw

ご指摘の通り、特に1枚目の画像は、和蝋燭の光で撮影したようにも見えますね。他の画像がセピア調だったので、それに色味を合わせてみたんですが、なんとなく不自然に見えるかもしれません。

「美咲=みぃ」というわけでもなく、相手役も私とはイメージが違うかもしれませんが、みぃの画像と、物語の雰囲気を合わせてお楽しみください。
[ 2015/03/07 14:23 ] [ 編集 ]
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